正宗系観察日記

ウザい折伏を逆に伏せる(逆伏)ためのデータ記録

段階的な弥勒思想

弥勒信仰に詳しい松本文三郎氏の研究によると、インドにおいて仏滅後前後200〜300年頃に徐々に進展し、最終的に大乗仏教にとり込まれ、釈迦以降の未来仏信仰として徐々に展開形成されたといわれています。

弥勒菩薩所問本願経」はその段階的発展の第一ステップで、仏が弟子阿難と大衆に向かって、弥勒が将来仏であることを予言するというスタイルがとられています。

釈迦がいうには、弥勒菩薩は私よりはるか42劫前に菩提発意しながらも、いまだに成仏していないのは、自分の場合は、物や妻子、頭、目、王位等々自分のもてるものをことごとく衆生に施すことによって、すみやかに正覚をえたのであるが、弥勒はそれらを施すことなく、ただ「善権方便」(暫定的な方便としての安楽の行を以て、無上正真の道を致すことを得ん」という独自の道を進んだからである。仏はこの地上に悪が充満している時に、悪行・非法をなすものを救済しようとして現れたのに対して、弥勒はこの地上から悪が一掃される時にはじめて、大衆とともに成仏したいというのである。(弥勒菩薩所問本願経・概略)

修行のアプローチを一面的でなく多面的に見せたいという思惑だろうか?他の菩薩やホトケが積極的に大衆を救済するというよりは、弥勒の場合は大衆自身の努力に救済がかかっているところが面白い。
次の「弥勒大成仏経」になると今度は打って変わって菩薩として弥勒の出世がこの世界の理想郷出現的な国家、民衆救済の待望が弥勒下生に高まるような演出が打ち出される。

仏が摩伽陀国の波沙山頂において弥勒下生を予言し、弥勒下生の際の国土の状態を語る。

弥勒下生直前の社会は、私的所有もなければ、身分・階級制度もない、透明な共同体であり、アジア的社会の中で、当時の人が可能な限り構想しえた幻想のユートピアが描かれている。ユートピアの到来は、あくまで弥勒下生の前提条件であって、この条件が整ったときはじめて弥勒は下生するという。(弥勒大成仏経)

下生した弥勒は、理想郷の住民も五欲のために苦悩しているのを見て出家を決意する。「弥勒大成仏経」によると、弥勒は世にあること六万億歳で、その滅後正法の世にあること六万歳、像法同じく二万歳と随分ながい存生の仏さん候補です。

最後、大衆説法し、第一会において96億人、第二会は竜華樹の下で94億人、第三会において92億人が阿羅漢果を得るといいます。これが、竜華三会での弥勒の救済だそうです。(続く)