正宗系観察日記

ウザい折伏を逆に伏せる(逆伏)ためのデータ記録

方便という意訳

方便品はその名の通り方便を持って如来の化導を表すのですが、日蓮が羅什の翻訳を元として傾倒した入った部分など、梵本とかなり違うオリジナル翻訳のことは知らなかったようです。例えば有名な偈です。

舍利弗。如來知見廣大深遠。無量無礙力無所畏。禪定解脱三昧。深入無際。成就一切未曾有法。舍利弗。如來能種種分別巧説諸法。言辭柔軟悦可衆心。

舎利弗如来の知見は広大深遠なり。無量・無碍・力・無所畏・禅定・解脱・三昧あって深く無際に入り、一切未曾有の法を成就せり。舎利弗如来は能く種々に分別し巧に諸法を説き言辞柔軟にして、衆の心を悦可せしむ。(方便品)

この部分ですが、岩本裕氏の法華経訳によると、全く内容すら違います。

如来たちは偉大な巧妙な手段を用いる智慧を示すことでは、最高に熟達しているのである。かれらは、繋縛もなく障害もなく智慧を発揮する力をもち、自信に満ち、普通の人間と区別される勝れた特徴があり、また、そのような感覚機能の力をもち、「さとり」を達成する素質を具えているだけでなく、瞑想して心を静め、迷いから脱し、精神を統一して心身を平安にさせることができるという不思議な特質を賦与されているのであって、こうして種々の教えを宣揚するのである。(法華経岩本裕氏訳)

御覧頂いたように羅什の「禪定解脱三昧」 は「さとり」を達成する素質を具えているだけでなく、瞑想して心を静め、迷いから脱し、精神を統一して心身を平安にさせることができるという不思議な特質を」というような部分はかなり端折られています。

これは別の訳文でも証明できます

シャーリプトラよ、正しく完全に覚られた尊敬すべき如来たちは、偉大な巧みなる方便と知見の最高の完成に達しておられるのだ。[如来たちは、]執着がなく、妨げられることのない知見と、[如来の十の]力(十力)、[四つの]畏れなきこと(四無畏)、[如来に具わる十八の]固有な特質(十八不供法)、[五つの]働き(五根)と、[五つの]能力(五力)と、[七つの]覚りへの要件(七覚支)、禅定、解脱、三昧、等至などの驚嘆すべき特質を具えておられ、種々の教えを説かれる方なのである。(植木雅俊訳・梵本法華経

比較すれば、羅什の翻訳はかなりシンプルですが、内容を縮めてしまって意を伝えることでは梵本とは全く違う事がわかります。