正宗系観察日記

ウザい折伏を逆に伏せる(逆伏)ためのデータ記録

善因楽果、悪因苦果説話の黒幕

日本霊異記に見られる過去の罪業と、転生して受けた果報。さらには過去世と現世に受けている因縁譚を見ますと。

讃岐国美貴郡の大領の妻田中真人広虫女が悪徳によって蓄財。
後日そのために地獄に堕ちた夢を見たと夫、子供に告げて死ぬ。 そこで法要を営んだところ七日目に蘇生したが、上半身は牛で下半身は人間という牛頭の姿であった。それを悲しんだ夫、子供らが種々の発願供養や布施をした結果五日後に死んだというもの。

紀伊国薬王寺に労役する牛が、檀越岡田村主石人の夢に現われ、 自分は物部麿(公家の名前)で、 生前、寺の薬分の酒二斗を借りたまゝ死に、そのために今、牛に生れ変って罪を償っていると告白。 それを事実と確認した後に寺僧や檀越が哀れんで誦経したところ、 牛は八年の労役を果した後姿を 消したというもの。

大和国山辺郡に住む善珠禅師は熱心に修行し、 天皇の信任厚く僧正を拝任。

臨終に際し卜者に憑霊して、後に国王の丹治比夫人の胎(はら)に宿り王子に生れ変ると遺言。 翌年その通りとなり確認される。 それで王子は大徳の親王と呼ばれたが三年後に死んだというもの。 

伊予国石鎚山に住む寂仙は浄行に勲しみ菩薩と呼ばれ、臨終に際し弟子に、二十八年後に神野親王に生れ変ると告げて死に、後の嵯峨天皇になったというもの。

最初の二つは悪業の結果、悪因苦果の現生を説いています、最後の二つは修行者の僧侶が高貴な身に生まれるという構成ですが、天皇やその親族に生まれるのは十善の徳を積んだ結果の身を示唆していて、善行を作す=高貴な身に生まれる、という図式を盛り込んでいて、輪廻しつつも功徳を積むことを勧奨している、いわば道徳の説話になっています。

こうした説話の背景に「光仁・垣武両帝による仏教統制が背景にある」と佐原作見氏は論考されています。