正宗系観察日記

ウザい折伏を逆に伏せる(逆伏)ためのデータ記録

阿含経の毘流離王

一切経を閲覧したはずの日蓮さんが見落とした「増一阿含経・第二十六等見品第三十四」ですが、この章では『等見』ということが説かれています。

等見とは敵と味方とを区別しないことであり、人種、貴賎、貧富、男女、一切を区別せずに等しく見る見地のことです。その章の中にある毘流離王(この経典では流離王表記)の箇所、ちょっと長いですが現代文表示です。

波斯匿(はしのく)王が、釈迦族の家から娶めとろう、と思った。

釈迦族たちは、極めて大きな瞋りを懐いた、『われ等は、名族である!婢の子と、親戚になるような縁が何処にあろうか?』

釈迦族の大臣、摩訶男の家中には、婢の生んだ一女がおり、顔かたちは極めて端正、世にも希なほどであった。

この女を波斯匿王のもとに送りとどけ、『これは、わたしの娘です。これからは、親戚どうしですな!』と摩訶男は言った。

波斯匿王は、この女を見て極めて歓び、第一夫人の位につけた。夫人は、日ならずして懐妊し、一男児を生んだ。

観相師たちは、『今、ここに名を"流離"と号す。』と言って、去っていった。


波斯匿王は、流離太子が八歳になろうとする時、こう告げた『迦毘羅衛に行って、弓術などを学んでくるがよかろう』

太子は、摩訶男の家につくと、摩訶男にこう言った。
『波斯匿王は、わたくしをここに来させて、弓術などを学ぶよう命ぜられました』

その頃、迦毘羅衛の城中に、新に一講堂が起たった。大勢の釈迦族たちは、仏を請ずるための、準備をすべて整えた。

この時、流離太子は、五百の童子をひきいて講堂に来ると、さっと仏が坐って説法される、師子の座に昇ってしまった。

釈迦族たちは、これを見て大いに瞋り、門外に逐い出し、皆でこれを罵った、『こらっ、この婢の子めが!この婢の生んだ奴めが、よくも中に入って坐りおったな!』

流離太子が、すばやく、地より起ちあがり、長くため息をついて、後を振り返ると、婆羅門の子の、好苦(こうく)がいた。流離太子は、彼にこう語った、

『この釈迦族たちは、おれを辱めて、こんなにしやがった!おれが、もし後になって、王位を紹いだならば、お前は、必ずこの事を、おれに告げて憶い出させよ!』


波斯匿王は、やがて、命が終ると、流離太子が王位についた。婆羅門の好苦は、王の所に来ると、こう言った。『王よ、昔、釈迦族に辱められたことを憶いだされませ!』

流離王は、『善いぞ、善いぞ!善くぞ昔の事を憶いださせてくれた!』と答えた。

流離王は、『お前たちは、速かに駕(が、天子の乗り物)をととのえて、四部(象、馬、車、歩)の兵を集めよ!おれは、釈迦族を征伐しに往くぞ!』と命じた。

世尊は、一本の枯れ樹の下に、足を組んで坐られた。

流離王は三度引き返した。しかし、すぐ好苦に『釈迦族たちに、辱められたのを憶い出されよ!』と言われ、四度征伐に行った。釈迦にも神通力があったが、宿縁の深いのを知り、そのまま行かせた。

釈迦族たちは、一由旬の距離で、流離王に対した。

婆羅門の好苦は、こう言った、『大王、恐れることはありません!この釈迦族たちは、皆、五戒を守っておりますので、人を殺すなど、とんでもない。必ず、釈迦族を滅ぼせましょう。』

流離王は、大臣たちにこう告げた、『今この釈迦族たちは多すぎて、刀剣では殺しつくせないほどだ!皆の脚を池中に埋めて、象に蹈み殺させよ!』

大臣たちは、すぐさま、そうさせた。大臣たちにこう命じた、『お前たち釈迦族の女で、顔を好いのを五百人選びだせ!』

釈迦族の摩訶男は、流離王の所に来てこう言った、『わたしの願いを聞いてくれ!』

流離王は言った、『何のような願いだ?』

摩訶男が言った『わたしは、今水の底に没しよう!

わたしが水に没している間だけ、釈迦族たちが逃げるのを見逃してくれないか?わたしが水から出た時に、自由に殺せばよかろう!』

流離王は言った、『それは結構だ!大変おもしろい!』

摩訶男は、すぐさま水底に入った。

流離王は大臣たちにこう告げた、『摩訶男の祖父さんは何(ど)うした?何故、水に隠れたまま出て来ない?』

大臣たちは、すぐさま水に入り、摩訶男は、頭髪を樹の根に縛りつけて命を終っていた。

流離王は、五百の釈迦族の女にこう言った、『お前たち、おれはお前たちの夫であり、お前たちはおれの妻なのだ!互いに仲良くやってゆこう!』

流離王は、手を伸ばして一人の釈迦族の女を捉え、これを弄ぼうとした。

女は王にこう答えた、『わたしは、今、何があって、婢の生んだ種族なんかと情を通じるの?』

流離王は、甚だ瞋り、大臣たちに命じた、『速かに、この女を捉えてその手足を切り、深い溝の中に放り込め!』大臣たちは王の命の通りにした。

他の女達も死を選んだ。『誰が、この身をもって、婢の生んだ種族なんかと情を交えるものですか?』